<< BECK main 勝手にふるえてろ >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- - -
フィリップ、きみを愛してる!


"I love you, Phillip Morris!"


 『ムーラン・ルージュ』を観て以来ユアン・マクレガーが大好きで、公開当初からチェックしてはいたものの結局観に行けなかった作品。前評判もそこそこに、勢いとユアンへの愛だけでDVDを購入してしまいました。
 が、良い! これはここ最近一番のヒットかも……と言うくらい楽しめました。迷っている方は、是非購入をお薦めします。ただし、ゲイという単語に何の拒否反応も示さない方のみで(笑)

 ストーリーの核は主人公スティーヴン(ジム・キャリー)とフィリップ(ユアン・マクレガー)の恋。本当に一言でまとめるとこれだけです。製作陣もひたすらにこれを強調しているくらいです。
 今まで敬虔なクリスチャンとして、良き夫として妻と娘を養ってきたスティーヴン。ある日を境に、「自分らしく生きてやる」と自分がゲイであることをカミングアウトし、彼氏と楽しい日々を送る毎日。ただ、ゲイでいるには金がかかる――と言うわけで、彼が選んだ道は詐欺師。保険金をしこたま手に入れ、向かった先は結局刑務所。そしてそこで出会った心優しいフィリップに、一目で恋に落ち――と言うストーリー。フィリップに愛を伝えるため、スティーヴンは一度も振り返らずに突き進みます。
 ただ単に同じ詐欺師なら『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』の方がネタ的にはレベルが高いです。これが単純なストーリーでも面白いのは、脚本家(兼監督でもある)グレン・フィカーラ、ジョン・レクアのウィットに富んだラインと、何より役者の演技。特に主演の二人はもう、ただのカップルにしか見えない! ジム・キャリーが詐欺師よろしく素敵な笑顔で観客を落とし、その笑顔にクラリと来たユアン・マクレガーの蕩けた表情に観客がまた落とされるという、何とも幸せな連鎖。作中二人がとてもラブラブなので、下手なラブコメよりも赤面します。ただ、ゲイと言うこともあって(しかも刑務所ラブ)表現がかなり直接的なので、観る時は一人か余程気の知れた人じゃないと気まずくなるかもしれませんね。ちなみに私は母と観て、母は隣で大爆笑してました。それくらい波長の合う人とでないと楽しめないかも。

 何よりコメディとシリアスのバランスが上手く取れた作品です。そのバランサーであるジムは作中二回泣きますが、コメディアンとしての泣き方と俳優としての泣き方と、メイキングでも言っているようにはっきりとした線引きをした上で演じているので、観客も泣き所と笑い所に迷わない。ジムの爽やかな演技と無邪気なまでの笑顔に、ああこりゃあ騙されてもしょうがないわと思いました(笑)
 そしてまたユアンのゲイっぽい演技が素晴らしい。特にスティーヴンに会いたいがために今まで一歩も出ることのなかった中庭へと駆け抜けるシーン、走り方から何まで最高に可愛いです。素顔のユアンはインタビューにも真面目に答えるクールなキャラですが、今回のユアンは正に、恋する女のコ。喋り方や手の動き、目線やファッションなどの端々に「可愛らしさ」を感じさせます。刑務所内でのシーンは全てが可愛い。金髪碧眼とは、これまたツボを突かれる設定です(作中でも「金髪碧眼のゲイは狙われやすい@刑務所」と自分の可愛さを自覚しているような発言が見受けられます。可愛い)。私のユアンフィルターを取って観ても明らかな程、ユアンの演技は可愛らしいのです。メイキング映像のインタビューで、「誰もが想像する典型的なゲイの姿にならないようにした」とありますが、でもやっぱり可愛すぎたかなあとも思ってしまうくらい。これの理由の一端に吹き替えの翻訳が少しばかりオネエ言葉だったというのもあります。日本語版はお馴染みの森川智之の吹き替えで大変可愛らしかったんですけども、ちょっとやりすぎ感があったかなあ。あと訳が直接的すぎて……訳だけで言えば字幕版の方がお薦めです。とにかく本当に可愛いユアン。若干老けたとは言え、割れたアゴさえチャーミング。

 ストーリーと演技もさることながら、音楽や画面もハッピーで可愛い。オープニングの青空、タイトルロゴが出てくるまでの画面・色のコントラストはとても印象的です。ちょっとティム・バートンに似てるかもしれないですね。ビビッドな色を使いつつ、差し色としての小物使いが秀逸です。ゲイだと告白してからのスティーヴンの派手な生活へのシフトチェンジで、画面の色がパッと明るくなります。切り替え方もアングルも演出が面白い。音楽の入り方もセンスが良いし、シルエットでの夕日をバックにしたキスシーンは本当に綺麗。最初と最後、また、要所要所で目を惹くのが空の撮り方です。どのシーンも「空」を印象的に映し出していて、何らかのキービジュアルなんだと思います。メインテーマもラブラブな二人の雰囲気を音にしたらこんな感じ、というほどぴったり。


 かつて『ブロークバック・マウンテン』が公開された時はあんなに騒がれてタブー視されたのに、本作はあまり注目されなかったと言うか、そういう面では注目されませんでしたね。時代も変わったものです。それとも映画の目指すところが違ったのか……何れにしても、『フィリップ、きみを愛してる!』はライトに楽しめる娯楽作品としての一本のようです。実話と言うだけあって、最後の無音の字幕がまた皮肉です。今でもスティーヴンはフィリップの誕生日である13日の金曜日には脱獄を繰り返しているんだとか。この話は結構何度かテレビで紹介されているらしいですね。観れば良かった!
 ただ気になるのが、インタビューで監督や出演者がひたすら「これはゲイの映画ではない」と否定すること。これはゲイを描いた作品ではなく、二人の純粋な愛を描いたものなのだ、と何度も繰り返しています。ユアンもたまたま気に入ってやった役がゲイだっただけのこと、と答えています。カトリックの力が強いフランスではバッシングの対象になることもあり得るので当然と言えば当然の自己防衛(?)かもしれませんが、BLに慣れている文化に寛容な日本人の私からすると「そこまでゲイを否定せんでも……」と思ってしまいます。このへんはデリケートな問題なので大きなことは言えません。でもこの作品が堂々と発表出来るということは、以前とは違う良い方向での風潮が出来上がっているんでしょうね。
 BLが好きであってもなくても、単純にストーリーが面白いと思える作品です。主役二人の演技がとにかく見物なので、未見の方は是非! お値段もお手頃で、メイキング(この中でもカップル二人はイチャイチャしている……本当に撮影か?)と予告編二本、記者会見の様子が収録されてかなりお買い得です。お勧め!


(2010.11.22)
movie comments(0) trackbacks(0)
スポンサーサイト

- - -
comment
comment









この記事のトラックバックURL
http://hepta7.jugem.jp/trackback/58
trackback

Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< June 2017 >>

Categories
Selected Entries
Archives
Recent Comment
Profile
TweetsWind
Mobile
qrcode
Sponsored Links