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太陽の塔


「我々の日常の九〇パーセントは、頭の中で起こっている。」 


 森見登美彦の原点でもあるこの作品、とにかく森見作品の全ての基盤はここにあるんだと思います。一つの作品として完成しながらも、『夜は短し歩けよ乙女』のプロトタイプでもあり、『四畳半神話体系』の走りでもあり、『有頂天家族』のトライアルでもあり。随所にこれからの佳作の片鱗が見られます。
 森見作品内の恋愛は、とにかく何処か気持ち悪い。妄想に基づく思考から来ているというのもあるのでしょうが、如何せんオタク臭い。そして語り口から何となく受ける自慢気な印象。これらの要素を嫌う人はたくさん居るとは思いますが、私自身はその要素が無ければ森見登美彦じゃないと思ってるのでまったく問題ありません。彼の文章からそれらのアイロニーと気持ち悪さを取ったらただの「京都での恋愛を淡々と書く作家」になってしまいます。それは嫌。彼にはこれからもある種の優越感を滲ませながら書いていってほしいです。今までの作品がキャラ付けの関係でこの文体に落ち着いたのかもしれず、全ての作品がそういった作風になるとは限らないのでどうなるか分かりませんが、これからも小気味良い自慢を期待しています。

 しかし不思議なのが森見作品に出てくる女の子が一種の「恐怖の対象」「不可解な存在」として書いてあること。長野まゆみ作品でもそんな雰囲気があるのですが、『有頂天家族』の弁天さま然りこの作品の水尾さん然り……何かコンプレックスでもあるんでしょうか?
 気持ち悪い、男臭い、恥ずかしい。こんな言葉がぴったりくるような作品ですが(誉めてますよ!)、とにかく面白い。ファンタジーノベル大賞というのも頷けます。妄想もファンタジーですからね。今と比べると文体とキャラクターの作り方に若さがあり、ライトノベル感覚で読めるので若い人にも手に取りやすいのではないでしょうか。私が森見フリークということを抜きにしても、お勧め。


(2009.11.24)
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