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空の中

有川 浩
メディアワークス


「こんなことになってどうして、お前は俺を責めずにいられるんだろう。 何でお前は最後に俺を救ってくれるんだろう。」


 『図書館戦争』シリーズで有名な有川浩さんのデビュー2作目。自衛隊三部作の2作目でもあります。電撃文庫初のハードカバーということですが、私はライトノベルであることを知らなかったので一般書と認識しながら読んでました。多少ラノベ的な印象が強いにしても、これは一般レーベルで出しても問題なかったのではないかと思います。

 空の上に何かいる。今まで人間が達することのなかった高度2万kmで続発するスワロー飛行機事故。また、そことは無関係に思える場所で発見される謎の生物。事故の原因は一体何なのか。そこにいるのは一体何なのか。亡くなった三佐と一緒にいながらも自らは生き残った武田、スワロー開発会社から派遣された高巳はその原因を究明するために捜査を始めます。
 舞台設定が現代日本ということも手伝ってか、架空の「怪獣」が登場するにも関わらず非現実的な感じがあまりありません。むしろ居てもおかしくないと思ってしまう。その生物の存在が明らかになって、高度な知能を持った未知の生命体が襲ってくる、死ぬかもしれない、人類の終わりかもしれない。そんなピンチに陥った時に人はどう動くのか、社会はどう変動するのか、個人はどうなのか。その辺りの描写がかなりリアルで、読んでいて面白かったと同時に啓蒙的な作品だとも思いました。それが個人に向けられたものであれ社会に向けられたものであれ、いつか起こる不測の事態に対して人間はどう反応するのかの精巧なシミュレーションを見せられた気分です。
 そこまでの話を作りながらも作内であまり殺伐とした雰囲気が漂っていないのは恋愛要素もふんだんに盛り込まれているからで、普段恋愛モノをあまり好んで読まない私としては少なからず驚いたものの、出てくる二組のカップルを知らず知らずのうちに応援していました。登場する女性が一本はっきりとした芯を持っているからでしょう。かなり甘い台詞を吐くことも多いのですが、何故かさっぱり割り切って読めました。基本的に口語調なので自然と流れに沿っていたんだと思います。高巳の弁論法や真帆の巧みな話術など、しつこくなくサクサクと読ませてしまうのは素直に感嘆します。会話の「今っぽさ」が有川さんの大きな魅力ではないかなと。

 二作目から読んでしまったので一作目に戻るのは少し気が引けるのですが、次はこの勢いで『塩の街』を読めたら良いなと思います。忘れがちですが、これ電撃文庫なんですよね。電撃文庫の本気を見せつけられた作品でした。


(2009.9.22)
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