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神去なあなあ日常


「こわくて、うまく踏み入ることもできなくて、でもいつだってうつくしい。」


 まず不思議なのがタイトル。書店で見つけた時には思わず首をひねって考えてしまいました。神去? なあなあ? 一体なんぞや。読み始めれば何のことはない、「神去」村の「なあなあ」な「日常」を描く物語だからこそ、このタイトルなんですね。『仏果を得ず』においてその道のことを何も知らないままでもただ好きだからという理由からひたすら進む(進んできた)主人公の青春を、『風が強く吹いている』において自分の本当に好きなことをする、また出来る喜びを描いてきた三浦さんですが、今回はその2作と似た雰囲気が感じ取れます。いわゆる青春ものですね(ここで言う青春の定義は『風が強く吹いている』で自分なりのものを示したつもりです)。
 さて、『仏果を得ず』での文楽というのも変わったチョイスだと思いましたが、なんと今回のテーマは林業。斜陽産業だと言われ、地味な野良仕事だと思われているあの仕事です。実際私もこの作品を読むまではそう思っていました。それがまた三浦マジックというか、読んだ後には「林業って、面白いのかもしれない!」と思わせてしまうだけの魅力があるのです。
 就職するでもなく進学するでもなく、ただぼーっと都会で過ごしていくんだろうと思っていた高校(卒業)生、勇気。父親からの餞別三万円を手に、何やら訳も分からぬまま神去村というところへ送られることに。親からは特に惜しまれることもなく、友人たちには笑われるだけ、村に着いたら何故かヨキという謎の男に携帯を壊される。何をするのかも分からないままチェーンソーの使い方を教え込まれ、何故か美人の多い村で毎日いっぱいいっぱいな上肉体労働。俺は何でここに居るんだ。林業って、木って一体何なんだ!  というノリで始まる勇気くんの日記形式で物語が進んでいくのですが、とにかく面白い。林業の苦しみとは何ぞや、喜びとは、悲しみとは。都会の喧騒から遠く離れた神去村で、恋をしたり敗れたり、誉められたり貶されたり。勇気の一年が彼自身の突っ込みを交えつつ描いてあります。林業に全く興味がない方でも楽しめるはず。特に祭のシーンは光景が目に見えるようで、勇気たちと一緒になってエキサイトしていました。

 こてこての一人称なので苦手な方もいらっしゃるとは思いますが、内容はそれをカバーして余りある面白さです。未読の方は是非!


(2009.9.19)
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