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チェーザレ 破壊の創造者 7巻


「これは今宵最後の人としての名残だ」


 特に乱れもなくコンスタントに掲載されているようなので安心して読めます。原作が未翻訳とは言え一応チェーザレ・ボルジアの物語は世に出回ってはいるわけで、どうしても気になるようならそちらを探せば良いですからね。気長に連載の進行を待とうと思います。

 さて気になる7巻ですが、正直本編はあまり進んでいません。今までずっと予告されていた聖職者としてのチェーザレとジョヴァンニの降誕祭がやっと行われた、ということぐらいです。しかしまたこのシーンの描写の細かいこと細かいこと。台詞がほとんどないにも関わらず、絵だけで式の緊迫した荘厳な空気が伝わってきます。個人的にこのシーンは映画『LES CHORISTES』のサントラの中の一曲、『IN MEMORIAM』を聞きながら読むと大変良い気分で雰囲気を味わえると思います。
 相変わらず背景の写真をそのまま写したかのような作画の緻密さには感嘆するしかありませんが、今回のメインはそれよりもあの歴史的事件「カノッサの屈辱」からダンテの「神曲」への繋がりにおける宗教観と統治論の展開の仕方ではないでしょうか。世界史を少しでも勉強した人、また受験生であればカノッサと言えば教皇派と皇帝派の権威が逆転した重大事件、とすぐ頭に浮かぶと思います。後に聖人と讃えられる教皇グレゴリウス酸い函当時勝者として権威を強めたハインリヒ言ぁ△海瞭鷽佑旅柿茲鯆未靴董嵳想としての」二元論と「現実での」一元論が語られます。「ではグレゴリウス酸い蓮△呂燭靴匿燭棒賛佑任△辰燭里」というくだりから、続いてハインリヒ酸い諒萇犬力叩△泙燭修海らダンテとハインリヒ酸い箸隆愀犬悗範辰展開します。この墓標に込められた本当の意味がまたよくもまあこんな堂々と、というようなもので、読みながら思わず感心してしまいました。一元論、つまり皇帝至上主義を掲げたダンテ、「教皇派を叩き潰せ」と言うチェーザレ、そんな彼の姿を見ながらフィレンツェの先を憂うマキャヴェリ、『君主論』の誕生を予感させるエピソードでした。歴史的事実とこれからのことを絡める伏線が本当に上手いと言うか、展開の仕方が分かりやすくて良いですね。ビジュアル化されると歴史もこんなに面白いのか、という感じです。しかしこれから先、チェーザレは今まで以上に本心を見せなくなって行くんでしょうね。
 というように今巻はとにかく歴史をなぞってチェーザレの未来を予言することがメインだったと思うので、本編は前述の通りあまり進んでいません。アンジェロの怪我は良くなったようですが、ミゲルのふとした態度が時々気になります。このままチェーザレと共に進む良き友であれ、と願うのですが、きっとそう上手くは行かないのでしょう。チェーザレがアンジェロに渡した書庫の鍵の意味も気になるところ。大人顔負けの策略を巡らせる彼らですが、もう少し学生時代を堪能してくれても罰は当たらないんじゃないかな。本意であれ不本意であれ、みんな大人になっていくんですね。「全てを知っているのは神だけだ」と呟くミゲル、これがチェーザレの最後の弱音になるのかなとも思ったりします。

 そこはかとなく郷愁と切なさを感じながら、続刊を心待ちにしたいと思います。


(2009.8.22)
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