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パプリカ

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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


 2006年公開、マッドハウス制作の今敏監督の4作目。アニメ映画にしては結構大々的に宣伝されていたので、御存知の方も多いかと思います。筒井さんの原作ありきの映画化ではありますが、今監督は常に脚本家と共に自身の解釈を多分に絡ませるため、原作とはまた違うストーリーになっているのではないでしょうか。ストーリーの主軸はDCミニという他人と夢を共有できる次世代デバイスをめぐって起こる、夢と現実を揺るがす事件です。メインは「夢が流出する」問題ですが、そこに個人的感情やら別のストーリーが絡んでくるやらでややこしい……ということも実はなく、意外とあっさりまとまっています。
 とにかく映像が美しいです。DVDでも十分な映像美だと思いますが、折角なので是非Blu-rayで見て欲しい。セル画とCGの自然な融合(CGディレクターは加藤道哉)、いつもながら感嘆するキャラクターデザインの緻密さ(キャラクターデザイン・作画監督は安藤雅司『東京ゴッドファーザーズ』『イノセンス』等)、まるで写真のような背景のリアルさ(美術監督は池信孝、今敏監督全作品において美術監督を担当)、どれを取っても素晴らしいです。それに加えて、今回は耳まで気持ち良いという素晴らしい音響。主要キャラが実力派によって固められているために安心して聞けます。それぞれのキャラにぴったりです。今監督と筒井さんも作中のとある登場人物の声を当てています。また、作品の雰囲気の大半を作り上げている音楽を、あの平沢進さんが担当しているのも大きな魅力。パレードの時の音楽は不況和音の混ぜ方に背筋がゾッとします。 夢と現実の境目が分からなくなってちょっと怖くなる、そんな不安定さに今監督作品には欠かせないエロスも相俟って、大人の鑑賞に耐え得る作品です。全体的に本当に美しい。
 ちなみに個人的に好きなのは、人物の斜め45°からのカットとスキップするときの動きです。


(2009.7.21)
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