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フリークス


「君のしてくれたこと忘れないよ」


 日本で一度もTV放送されたことがないということでも有名なかなりの問題作。公開当初から大きな波紋を呼び、即公開中止、打ち切りとなった作品です。勿論子供に進んで見せようとは思いませんが、やはりこれは一度観ておくべき映画の一つだと思います。自分の人生観と言うか、先入観のようなものが180度ひっくり返るなり消滅するなり、大きな変化を与えることは間違いありません。それだけセンセーショナルな作品です。

 ストーリーはいたって簡単で、金に目のくらんだ美しい女クレオパトラが、自分の夫になった男ハンスを殺そうとして、復讐される話です。ここで注目してほしいのが男の方で、いわゆる「小人症」です。サーカスを舞台にした話なので、障害者や奇形といった人々と「普通」の健常者が入り交じっているわけです。先に傷つけて復讐される方が健常者、復讐する方が障害者です。
 恐らくこの映画が上映禁止である理由のひとつとして、障害者側が完全に復讐者となって進んで殺人を犯している様子がはっきり描かれていることが挙げられるのではないでしょうか(そのシーンは下手なホラーよりもよっぽど怖いです)。ただ、その点は作品の評価に全くと言っていいほど関係しません。ストーリー云々よりも、トッド・ブラウニング監督がこの映画を「堂々と」作り、出演者たちも「堂々と」自分を表現した、ということが重要なのではないでしょうか。ブラウニング監督は、この映画を撮るにあたってオーディションを行い、それにはかなりの人数の身体障害者が集まったのだそうです。つまり、彼らは歴とした役者であり、プロ意識を持ち、自分達から目を逸らすのではなくこの表現を見てほしい、と集まったわけであって、これは決して哀れみを誘う映画ではありません。彼らの身体からほとばしるエネルギーを感じてほしい。見せ方、そして魅せ方によって、身体はいくらでも政治的な意味合いを持ち、一つの武器と成り得ることを証明しています。
 ただ、クレオパトラの行なった悪行に対して、ハンスらが行なった復讐は少々割りに合わないのではないかな、と思います。実際このバージョンはまだカットされたシーンがあり、そこには健常者の男の局部を切り落とすシーンまであると言いますから、相当のものだったのでしょう。いくら彼らの「掟」に則ったとは言え、クレオパトラの末路を見ても分かるように彼らの怒りは凄まじかった。必ずしも「健常者は心が醜く、障害者は心が清い」というメッセージが受け取られるわけではありません。

 1932年という、およそ80年前に作られたこの作品、CGはまったく使用せず、特殊メイクが使用されているのもラストのワンシーンのみ。決して映像が美しいわけでも、技術力が高いわけでもない。それでも伝説の作品であるこの『フリークス』=怪物。是非一度見て頂きたい映画です。


(2009.7.16)
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