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ヒトラー ~最後の12日間~


 この映画を観る前に、最低限の知識を本やネットなどで仕入れておくことが何よりも重要です。『ワルキューレ』(2009、ブライアン・シンガー)と比較しても難解な部分が多く、それというのも元々ドイツ国内で作られたものなので、知識のあるドイツ人とほとんど何も知らない日本人とでは知識前提が全く違うためです。エンターテイメント性はほとんどありません、大戦やナチスに興味のある人にお勧めの作品。

 原題が日本語に訳すと「墜落」「崩壊」といった意味を表す一語であるのに対して、邦題では「ヒトラー」と付けられてしまっているために、多くの人がヒトラー個人を掘り下げて描いた映画だと思い込んでしまったと思うのですが、実際は「終戦」という事実をヒトラーの周りにいた人たちの視点で語ることで、その時ドイツがどれだけ混乱していたかを描いた一種ドキュメンタリー的な作品です。サウンドトラックもあまり無く、少し冗長に感じる部分もあると思います。2時間半に渡る映像で淡々とドイツ軍の崩壊が語られるので、『戦場のピアニスト』(2002、ロマン・ポランスキー)等と比べると大衆性に欠ける気がします。ただ最後に紹介された没年などのデータは他の映画にはなかなか無いもので、歴史資料を垣間見ることが出来る点においては素晴らしいと思います。秘書や料理人の最期まで言及するのは珍しいですね。
 この映画ではドイツが良いとか悪いとかではなく、国家に従事する人生を送り、追い詰められた人間がどうなっていくか、という「人間」がより色濃く描かれています。熱狂的な者や不信を示す者、終末を目の前にして行動に移す者や何も出来ない者など様々です。主人公がヒトラーの秘書ということで、少々彼女に肩入れしたような展開になっていますが(ヒトラーとの別れのシーン等)、基本的にはその場にいた者から見たヒトラー、そして彼ら自身の終焉に焦点が当てられています。勿論、話の展開上多少美化された点はあるだろうと思いますが(ペーター少年のくだりとラストはどう考えても都合が良い)。ユダヤ的なものは一つも出てきません。全てにおいて「ドイツ人の」映画です。登場人物が多すぎるので、誰に感情移入するわけでもなくただ事実を見せられる感じです。戦争資料映画としては相応しいような気もしますが、良くも悪くも客観的です。登場人物も多ければその分エピソードも情報量も多いので見る方は大変です。数回見てやっと理解出来る、といった感じ。

 こういった映画を見て毎回思うのが、「自分は何も知らないんだなあ」ということです。日本も敗戦国のはずなのに、小さい頃から戦争の歴史教育をされるドイツとは大違いですね。戦争映画を見て単に「悲惨だ、戦争は良くない」と思うだけではなく、そこから何かしらの知識と啓発を得ることが重要だし、そのために戦争映画があるのだと思います。


(2009.5.31)
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