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処刑人


「世界を変えるのは、行動する奴らだ」


 言わずと知れたアングラ映画の金字塔。今市子の『萌えの死角 2巻』を始め、色んなところでこの映画の話が出るのでずっと気になってはいたのですが、今まで観る機会がなく、今回前評判だけでこのツインパックを購入してしまいました。Amazonだとほぼ半額です。

 気鮓終わった後の感想はと言うと、実は「失敗したかな……」でした。キャストの演技だけに焦点を当てれば、それなりに楽しめる作品なのですが、話の展開を見ると「?」な部分が多い。マクマナス兄弟のかっこよさをひたすらアピールするPVのような印象を受けました。
 ……が! 観た後から映画の内容を思い出してみると、出てくるのは全て「かっこいいシーン」ばかり。コナーとマーフィーのかっこいいシーン、スメッカーのかっこいいシーン、イル・ドゥーチェのかっこいいシーン、ロッコのかっこいいシーン、などなど、ストーリーなど気にならないほど、シーン毎のイメージが鮮烈で強烈なのです。とにかく、煙草の吸い方から銃器の扱い方、祈り方、メッセージの残し方まで、全てがかっこいい。こんな映画、そうそう無いのでは。
 もうひとつこの映画に好感を抱く要素として、兄弟が決して完璧でない、という点が挙げられます。数ヵ国語を操り、祈りを唱えて何の躊躇いもなく悪人に制裁を加えていく彼らでも、立てる作戦はオマージュ≒パクリと「イメージ」ばかり。その空想のシーンがかっこよくもあるのですが、実際は兄弟喧嘩しながら敵地に突入したり、機械の故障で作戦変更を余儀なくされたり、結構失敗も多いのです。そこが何だか憎めない。作戦会議→兄弟喧嘩→突入→兄弟喧嘩の流れが可愛すぎるのです。そこにウィレム・デフォーを始めとする脇役たちが絡んでくるものだから、要所要所に笑いがあって面白い。アクションシーンがスローモーションで臨場感がないという意見もありましたが、私はこのアクションはスローだからこそ映えるのではないかなと思います。通常速度だったら多分何をしてるか分からない。
 今回は初Blu-ray化ということで、映像特典が結構入ってます。インタビューや音声解説、予告スポットなど盛り沢山ですが、特に注目したいのはスクリーンテストと未公開シーン集。スクリーンテストでは白黒ながら、なんと髪が今より長いマクマナス兄弟を見ることが出来ます。このまま進めてたら、また違った印象になったかも。そして未公開シーン集は、何と言っても兄弟とママの電話シーンが素晴らしい。色んな意味で大満足です。ただしインタビューがノーマン・リーダス単独でしかないのが若干気になるところ。

 さて、大評判の気鉾罎戞△燭世離侫.鵐妊スクと噂の兇任垢。私は結構面白く観ることが出来ました。むしろ気茲螢好函璽蝓爾纏まっていたように思います。もちろん10年のブランクがありますから、キャストが年を取るのはしょうがない。コナーもマーフィーもそれなりにオジサン化しています。しかしそれでもかっこよさと仲の良さは健在! 更にグレードアップした彼ら兄弟の絡み(という言い方もちょっとアレですが)も見ることが出来ます。アイリッシュ好きとしては、冒頭の音楽にも目を向けたいところ。音楽が全体を通してなかなか良くて、中には監督のバンドの曲も2曲使われているようです。兇牢篤弔「ファンのために作った」と豪語するだけあって、気紡个垢襯マージュが随所に見て取れます。残念ながら名脇役スメッカーは退場したものの、その後釜に座った初女性キャラであるユーニスも嫌味じゃない。ラスボスにもう少しインパクトが欲しかったかな、とも思いますが、演じているのがピーター・フォンダなので文句無し。なかなか見応えのあるアクションシーンもあり、全体的には満足です。ロッコのシーンは無駄に感動してしまった……オチで思いっきり落とされましたが(笑) ドクが健在なのも嬉しかったです。ドク可愛い。
 映像特典の方は、気鉾罎戮襪畔足りないかも。未公開シーンが2つしかなく、NGシーン集もなし。その代わり、武器庫を見せてくれたり、メイキング、インタビューやファンとの和気藹々な会見(?)の様子がたっぷり収録されていたりします。この武器庫がまたすごい。いかに監督がイメージに拘り、細かいところまで気を遣っているかがよく分かります。映像特典の中で、私はこの武器解説が一番楽しめました。個人的にはユーニスの銃が好きです。いかにもマニア向け企画ですが、買うのはマニアぐらいなのでむしろ良いおまけなのかもしれません。でも是非ともマーフィーの乗馬失敗談が見たかった……(会見@コミコン参照)。

 総合して、私は大変楽しめましたし、買って良かったと思います。ガンアクション好きには堪らないし、兄弟モノが好きならまた堪らないです。ただし、Fから始まる大変汚いお言葉を度々連発する(上にたまに修正音が入る)ので、苦手な方は避けた方が宜しいかと。

 3も公開するかも、とのことなので、首を長くして待っていようと思います。


(2011.3.4)
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フィリップ、きみを愛してる!


"I love you, Phillip Morris!"


 『ムーラン・ルージュ』を観て以来ユアン・マクレガーが大好きで、公開当初からチェックしてはいたものの結局観に行けなかった作品。前評判もそこそこに、勢いとユアンへの愛だけでDVDを購入してしまいました。
 が、良い! これはここ最近一番のヒットかも……と言うくらい楽しめました。迷っている方は、是非購入をお薦めします。ただし、ゲイという単語に何の拒否反応も示さない方のみで(笑)

 ストーリーの核は主人公スティーヴン(ジム・キャリー)とフィリップ(ユアン・マクレガー)の恋。本当に一言でまとめるとこれだけです。製作陣もひたすらにこれを強調しているくらいです。
 今まで敬虔なクリスチャンとして、良き夫として妻と娘を養ってきたスティーヴン。ある日を境に、「自分らしく生きてやる」と自分がゲイであることをカミングアウトし、彼氏と楽しい日々を送る毎日。ただ、ゲイでいるには金がかかる――と言うわけで、彼が選んだ道は詐欺師。保険金をしこたま手に入れ、向かった先は結局刑務所。そしてそこで出会った心優しいフィリップに、一目で恋に落ち――と言うストーリー。フィリップに愛を伝えるため、スティーヴンは一度も振り返らずに突き進みます。
 ただ単に同じ詐欺師なら『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』の方がネタ的にはレベルが高いです。これが単純なストーリーでも面白いのは、脚本家(兼監督でもある)グレン・フィカーラ、ジョン・レクアのウィットに富んだラインと、何より役者の演技。特に主演の二人はもう、ただのカップルにしか見えない! ジム・キャリーが詐欺師よろしく素敵な笑顔で観客を落とし、その笑顔にクラリと来たユアン・マクレガーの蕩けた表情に観客がまた落とされるという、何とも幸せな連鎖。作中二人がとてもラブラブなので、下手なラブコメよりも赤面します。ただ、ゲイと言うこともあって(しかも刑務所ラブ)表現がかなり直接的なので、観る時は一人か余程気の知れた人じゃないと気まずくなるかもしれませんね。ちなみに私は母と観て、母は隣で大爆笑してました。それくらい波長の合う人とでないと楽しめないかも。

 何よりコメディとシリアスのバランスが上手く取れた作品です。そのバランサーであるジムは作中二回泣きますが、コメディアンとしての泣き方と俳優としての泣き方と、メイキングでも言っているようにはっきりとした線引きをした上で演じているので、観客も泣き所と笑い所に迷わない。ジムの爽やかな演技と無邪気なまでの笑顔に、ああこりゃあ騙されてもしょうがないわと思いました(笑)
 そしてまたユアンのゲイっぽい演技が素晴らしい。特にスティーヴンに会いたいがために今まで一歩も出ることのなかった中庭へと駆け抜けるシーン、走り方から何まで最高に可愛いです。素顔のユアンはインタビューにも真面目に答えるクールなキャラですが、今回のユアンは正に、恋する女のコ。喋り方や手の動き、目線やファッションなどの端々に「可愛らしさ」を感じさせます。刑務所内でのシーンは全てが可愛い。金髪碧眼とは、これまたツボを突かれる設定です(作中でも「金髪碧眼のゲイは狙われやすい@刑務所」と自分の可愛さを自覚しているような発言が見受けられます。可愛い)。私のユアンフィルターを取って観ても明らかな程、ユアンの演技は可愛らしいのです。メイキング映像のインタビューで、「誰もが想像する典型的なゲイの姿にならないようにした」とありますが、でもやっぱり可愛すぎたかなあとも思ってしまうくらい。これの理由の一端に吹き替えの翻訳が少しばかりオネエ言葉だったというのもあります。日本語版はお馴染みの森川智之の吹き替えで大変可愛らしかったんですけども、ちょっとやりすぎ感があったかなあ。あと訳が直接的すぎて……訳だけで言えば字幕版の方がお薦めです。とにかく本当に可愛いユアン。若干老けたとは言え、割れたアゴさえチャーミング。

 ストーリーと演技もさることながら、音楽や画面もハッピーで可愛い。オープニングの青空、タイトルロゴが出てくるまでの画面・色のコントラストはとても印象的です。ちょっとティム・バートンに似てるかもしれないですね。ビビッドな色を使いつつ、差し色としての小物使いが秀逸です。ゲイだと告白してからのスティーヴンの派手な生活へのシフトチェンジで、画面の色がパッと明るくなります。切り替え方もアングルも演出が面白い。音楽の入り方もセンスが良いし、シルエットでの夕日をバックにしたキスシーンは本当に綺麗。最初と最後、また、要所要所で目を惹くのが空の撮り方です。どのシーンも「空」を印象的に映し出していて、何らかのキービジュアルなんだと思います。メインテーマもラブラブな二人の雰囲気を音にしたらこんな感じ、というほどぴったり。


 かつて『ブロークバック・マウンテン』が公開された時はあんなに騒がれてタブー視されたのに、本作はあまり注目されなかったと言うか、そういう面では注目されませんでしたね。時代も変わったものです。それとも映画の目指すところが違ったのか……何れにしても、『フィリップ、きみを愛してる!』はライトに楽しめる娯楽作品としての一本のようです。実話と言うだけあって、最後の無音の字幕がまた皮肉です。今でもスティーヴンはフィリップの誕生日である13日の金曜日には脱獄を繰り返しているんだとか。この話は結構何度かテレビで紹介されているらしいですね。観れば良かった!
 ただ気になるのが、インタビューで監督や出演者がひたすら「これはゲイの映画ではない」と否定すること。これはゲイを描いた作品ではなく、二人の純粋な愛を描いたものなのだ、と何度も繰り返しています。ユアンもたまたま気に入ってやった役がゲイだっただけのこと、と答えています。カトリックの力が強いフランスではバッシングの対象になることもあり得るので当然と言えば当然の自己防衛(?)かもしれませんが、BLに慣れている文化に寛容な日本人の私からすると「そこまでゲイを否定せんでも……」と思ってしまいます。このへんはデリケートな問題なので大きなことは言えません。でもこの作品が堂々と発表出来るということは、以前とは違う良い方向での風潮が出来上がっているんでしょうね。
 BLが好きであってもなくても、単純にストーリーが面白いと思える作品です。主役二人の演技がとにかく見物なので、未見の方は是非! お値段もお手頃で、メイキング(この中でもカップル二人はイチャイチャしている……本当に撮影か?)と予告編二本、記者会見の様子が収録されてかなりお買い得です。お勧め!


(2010.11.22)
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BECK


「この苦しみも、ここまでみんなで来た意味も、オレは伝えたいよ」


 何が目当てって、佐藤健でした。文句なしに素晴らしかったです。

 というか外見が学生でも通じるほど、まだまだ若い。一応コユキたちBECKメンバーは一番年上の平くんが18歳、下のコユキとサクが14歳、とかなり低年齢の設定ですが、流石に中高生でバンドデビューはちょっとなあ……と思ってしまう部分もあるので、今回のキャスティングは全体的に良い結果になったと思います。勿論低年齢だからこそ天才性が際立つんですけども、やっぱり二次元を三次元に起こすのはそう簡単には行かないものだというのが本音です。今回は特に。
 賛否両論あるこの映画。一番の争点が、コユキの歌声です。最初から最後まで、チラリとも歌声がない。声が全く入っていないのです。最後の最後、ライブシーンになればもしかしたら、という淡い期待も抱いたのですが、甘かったようです。残念だとは思ったのですが、私個人の意見としては、原作者からの強い要望があったとは言え、これは堤監督の気遣いからの英断だと思います。コユキの、それこそ天から降ってくるような歌声を三次元で表現するのはまず無理。そんな人が居たらそれこそ話題になってメジャーデビューするはずです。佐藤健の歌う姿は紛うことなく天使でしたけども(笑) 原作のイメージを損なうことなく映画化するに当たって、歌声を全カットした監督はすごい。正直ここまで原作ファンを大切にする人って他に居ないのではないかと。ただそこまでハードルを上げずとも妥協して、誰か別の声を持ってくるとか、何かを犠牲にすれば他にも方法はあったのではないかと思います。正直、一度で良いのでボーカル入りの「BECK」の曲を聞きたかった。DVDに特典で付いたりしないんでしょうか。「佐藤健ボーカル収録、 幻の音源」みたいなやつで! 電王の時にも歌ってたので、別に歌えないわけじゃないんですよね。製品化の際は、頼んだ!
 最初は佐藤健が見られればそれで良いかななんてことを思っていたんですが、観れば観るほどBECKメンバーがすごく、良い。私が原作未読なこともあるのでしょうが、出演者全員が全員収まるべきところに収まったかなあという印象。千葉を演じる桐谷健太は『タイガー&ドラゴン』でチビT役、『仁―JIN―』で佐分利先生役をやったりと今までしばしば演技を見てはいたのですが、今回はハマり役。正直ラストの千葉の歌声はかなり来るものがありました。ラップ対決の時点では「うーん?」とか思ってしまって申し訳なくなったぐらい。帰国子女だからという理由が主でキャスティングされた水嶋ヒロの英語も、大変宜しい。日本人はどうしても(留学した人でさえ)発音が堅いのに対して、彼の流暢な英語にちょっとだけ抱いていた不安も吹っ飛びました。妹役の忽那汐里も自然な感じで可愛かった。しかし女の子キャラだったらヒロミ(倉内沙莉)がドツボでした。かわいい。そして今回一番キュンと来たのが、向井理。『ゲゲゲの女房』での好演が記憶に新しい彼ですが、申し訳ない。正直ちょっとナメて ました。彼があんなに兄さん的キャラが似合う人だとは思わなんだ。ドラムのサク役の中村蒼も前から知ってはいましたが、演技を見たのはこれが初めてです。彼は色気のある二枚目よりは若干天然の入った穏やかな2.5枚目である方が断然良いと思いました。それを思うとあのキャスティングに首を捻らざるを得ない『大奥』での中村蒼の役も許せるかなあ。
 彼らが本当に弾いているかどうかは定かではないですが(若干音ズレ?と感じてしまう部分もあったので)、もし弾いていないのであってもあれだけそれらしく魅せられるということはかなり練習したことでしょう。みんなかっこいい。余談ですが、水嶋ヒロ、佐藤健、ヨシト役の古川雄大(歌声&ダンスがセクシー)と言いマサル役の桜田通と言い、仮面ライダー祭でしたね。そして! 何より! フェス担当者として、BECKを全面的にサポートしてくれた! 松下由樹! 『ナースのお仕事』が大好きだった私は、「先輩」の松下由樹はそこに居るだけで嬉しくなります。そんな松下由樹がこの映画に 出ているなんて知らずに見たので、登場した時の感動と言ったら、もう。ありがとう。他にも私の好きな水泳要素をがっつり取り入れてくれたカンニング竹山とか、さりげなく出演して去っていった品川とか、けっこう脇キャラも面白いです。全体的にシリアスな中でも時折テンポの良い笑いのシーンが入ったりするので、ああ堤監督だなあと思ったりします。
 あと今回はスタッフロールを何故かいつもより真剣に見てたんですが、衣装協力のところにChacottがありまして、一体どこにバレエシーンがあったんだ、と思ってよくよく考えてみると、新体操部であるヒロミちゃんたちが着てたのはチャコットのベーシックタイプのレオタードでしたね。何という地味なデザイン、とか思っていましたがあれは練習用レオタードをそのまま使用してるんですね。納得。スタッフロールも意外と新発見があったりして面白いです。

 評価の別れそうな作品ですが、個人的にはなかなかオススメです。ホルモンやらレッチリやらオアシスやらも聴けるので、ロック好きの方は是非!


(2010.9.19)
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トゥルーマン・ショー


「おはよう! そして会えなかったときのために、『今日は』と『今晩は』も!」


 ものすごーく観たかったのにもかかわらず結局劇場に足を運べずして終わってしまった『Dr.パルナサスの鏡』の監督の代表作とも言われるこの作品……とか書こうとしてましたが大ウソです。こちらの監督はピーター・ウィアー(『刑事ジョン・ブック/目撃者』等)、パルナサスの監督はテリー・ギリアム(『ブラザーズ・グリム』等)、全く違います。何を勘違いしてたのか、恥ずかしい。
 さて、こちらの『トゥルーマン・ショー』、名前は聞いていましたがなかなか観る機会がなく、やっと観ることが出来ました。  何の予備知識も無しに見たので、話の途中で「ああ、なるほどね!」となったので、勘の良い人は冒頭のインタビュー然とした映像で話の内容が分かってしまうかもしれません。遅かれ早かれ結局バレるので、あまり重要なことではないのかも。カメラワークに明るい人ならあるいはすぐ気付くでしょう。
 ストーリーの中盤で映画の「真実」が明るみにされるまで、じわじわと少しずつ観客にヒントが与えられていきます。それがなかなか面白い。以下にストーリーの概要を記しますが、何も知らずに観て驚きたい方は薄目でスルー! <ネタバレ>この『トゥルーマン・ショー』、実は映画の中に出てくるTV番組のタイトルにもなっています。主人公トゥルーマンの誕生から今の今まで、24時間一日も休まず、ひたすら衛星中継で彼の人生を放送していくというもの。トゥルーマンはそれを知らされることなく、5000台の監視カメラに囲まれ、全てが計算された(たまにイレギュラーもありますが)セット、シナリオの中で一生を終えるはずでした。彼が彼の住む世界、「シーヘヴン」に疑問を持つまでは……。</ネタバレ>
 というわけでかなりメタフィクション的な内容なんですが、誰しも「この人生は誰かによって操作された、作られたものかもしれない」という気持ちは持つと思いますし、その点でこの作品はいつかどこかで起こる、または起こっているかもしれないことを描いた一種の警告映画でもあるわけです。コメディ要素とシリアス要素、また感動要素と三拍子が上手い具合にミックスされているので、誰でも楽しんで見られると思います。主人公を演じるジム・キャリーの笑顔がまた良い。素敵。彼が笑うだけで画面が明るくなると言うか、こちらも笑えてくると言うか、とにかく彼の笑顔の破壊力は素晴らしいです。ストーリーの発想が今までになかなか無くて面白いのですが、同時に観終わった後少し怖くなりました。

 商品画像について、どれにしようか悩みましたが、お買い得なことと内容の充実を考えてこれにしました。ちょっとトゥルーマンがかっこつけすぎかなあとも思いましたが(笑) 他のDVDだとジム・キャリーのとても可愛らしい寝顔がジャケットになっております。

 次からはこの作品について色々と考察。


(2010.7.17)
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ビッグ・フィッシュ


「人生なんて、まるでお伽噺。」


 ユアン・マクレガーとティム・バートンという珍しい組み合わせ、また公開当時密かに話題になっていたことを思い出し、観てみました。もうとにかく大後悔。何故これを劇場で観なかったのか!
 ストーリーを口で語ってしまうと「だから?」と言われそうなシンプルなものですが、とにかく映像が美しい。導入部分の「ビッグ・フィッシュ」の辺りから本領発揮。ユアン・マクレガーの演技がこれまた良い。以外にも隠れた良作なのです。

 普段から自分の過去をあることないこと語り、本当のことを教えてくれなかった父と決裂していた息子。そんな父が危篤状態となり、息子は父から本当の過去を聞き出そうとする。病床にある父の口から語られるのは、それでもやはり夢物語。父の嘘か本当か定かではない過去と、現在の父の姿が交互に映し出されます。そこの対比が見事。ユアン・マクレガー演じる若き父親の、様々な色に溢れた美しい思い出の中を駆け巡りながらふと現実に戻ると、年老いた父親がベッドに横たわる無機質な灰色の世界。次第に息子も自分から父親の過去を探しに向かいます。町の外れに住む魔女の話、人食い大男の話、夢の町スペクターの話、サーカスで出会った運命の女性の話、そして繰り返し語られる「ビッグ・フィッシュ」の話。そのどれもこれもが信じ難く、またそれ故に面白い。最後の父親と息子が和解する場面は、なるべくしてそうなった、という自然な流れ。物語の山場でもあります。息子が父の心に触れ、全てを理解する。観客は息子の涙を見ながらホッとして、そのまま自分も思わず涙を流す。声を出して泣くような映画ではありません。泣かない人もいるかもしれません。それでも、ラストの美しさには感動せずにはいられませんでした。その美しいラストが息子の口から紡ぎ出されたものだという事実が、また涙腺を刺激するのです。

 正直に生きることは大切だけれど、それが楽しくないのだったら少しのスパイスは必要。物語を語ることで父は物語それ自身となり、それは彼が死んだ後もずっと残るのだ、という息子の言葉はある種真実だと思います。何度観ても良い映画です。未見の方は是非。


(2010.1.3)
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風が強く吹いている


「この10人で襷を繋ぐ。それが俺の夢だ。」


 原作を読んで感動したのが記憶に新しいこの作品、映画化の情報を聞いた時からずっと楽しみにしていました。10月31日から公開だったんですが、色々あってやっと観に行くことが出来ました。最近若手を起用して若者の映画離れを食い止めようとしてるらしいですがあまり効果を上げていない様子。その余波もあってか映画館には人も少なく、かなり快適でした。

 ストーリーは大体原作通り。冒頭いきなり出てきた小出恵介扮するハイジのあまりのかっこよさ(※ファッション)にかなり驚きはしたものの、竹青荘が自分の想像していたものとまったく同じだったことに感激しました。想像通りのセットに加えて、キャスティングも上手い。ちょっとニコチャン先輩(川村陽介)がかっこよすぎるかなとも思いましたが、許容範囲です。ユキ(森廉)も神童(橋本淳)もぴったり。特に神童が良い。多分映画化して一番映えるエピソードは神童のそれだと思います。結果普段映画では泣かないと自負している私も、目の前に座っていた厳格そうなおじさんでさえも鼻をすすってました。ハンカチを持って行くべきだった。双子の役はどうしても斉藤兄弟にオファーが行きますね。ただ彼らも城兄弟を上手いことお茶目に演じていてイメージ通りでした。王子の努力を一生懸命演じた中村優一もすごい。何より林遣都の演じたちょっと神経質そうで、でも素直な走がとても良かった。陸上に関しては素人なのであくまで私見ですが、特に走る姿が美しいです。足が綺麗。そしてそんなみんなを支える小出恵介の演技が大変素晴らしい。この二人の演技あってこその作品です。終盤の小出恵介の演技は必見です。
 競技中、原作では10区を順に走る一人一人の心中が丁寧に語られてそれが感動を誘うんですが、やはり二時間という映画の性質上全員のエピソードを語るのは無理なわけで、数人がただ繋ぎで走るだけになってしまったのがしょうがないとは分かっていても残念です。全ての人に原作を読めとは言えませんが、やはり文字だからこそ伝えられることもあると思うので是非この映画から本を読んでほしい。もちろん駅伝をテーマにしたフィクションなので結末には賛否両論あるでしょう。ただ、私が原作好きだからかもしれませんが、エンターテイメントとして良作なので、原作を読んだ人も読んでない人も是非映画館に足を運んでください。あれは大きなスクリーンで観るからこその作品だと思います。

続きにネタバレも含むもう少し突っ込んだ感想


(2009.11.15)

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ネバーランド


"Boy has gone." 


 多分人に勧められなければ見なかったであろう映画。ジョニー・デップは好きですが、この作品自体が地味なこともあったかもしれません。それが今では公開時に観なかったことを後悔してます。当初ちらりと話題になりましたが、実在の劇作家ジェームズ・バリー(作中では主にバリ)をモデル、主人公にした、あの有名な『ピーター・パン』の誕生秘話を軸に展開するヒューマンドラマです。
 脇を固める俳優陣と子役がバランス良く、ジョニー・デップも珍しく(?)爽やかな演技を見せています。彼はメイク次第で顔も雰囲気も変わるので毎回驚かされますね。今作では1900年代ということで漫画『エマ』(森薫)の絵がそのまま映像化された感じです。当時の衣装やセットが忠実に再現されているので、そこを楽しむのもこの映画の醍醐味の一つかと。ジェームズや子供たちのイマジネーションによる映像効果も自然とストーリーに溶け込んでいて、思わず吹き出すような場面も多々ありました。劇場での初演のシーンは映画館で見たらものすごい臨場感だったんだろうなあと思います。ラストの「ネバーランド」は本当に美しい。
 同じように劇をテーマにした作品で少し前に『恋におちたシェイクスピア』がありましたが、あちらよりはもう少し安心して見ることが出来ます。それだけ健全な作品なので、家族で見ても全く問題ありません。実際はどうあれジェームズとシルヴィアの恋をひたすら美しいものとして描いてあります。実話を元にしてあるとは言えやはり多少なりとも脚色はしてあるので、捉え方は人それぞれでしょう。ちなみに私はこの作品はフィクションだと思ってます。
 作中では『ピーター・パン』のモデルはシルヴィアの息子のピーターであるとされていますが、結局子供のままでずっと大人になれなかったのはジェームズ自身であるわけで、ピーターを通して子供たちに「信じることの力」を教えたかったんでしょう。劇中でのピーターの台詞一つ一つがぐっと来ます。子供のうちは子供らしく過ごすのが一番良い、感情を有りの侭に表現出来るのは子供のうちだけ。ジェームズはピーターへのメッセージを『ピーター・パン』に込め、それが凝り固まったピーターの心を解した、と。作中で劇を観た大人たちが心動かされたように、この映画も大人のための物語です。エンドロールのピアノの旋律も美しい。何となく煮詰まった時に観るのがオススメです。
 ちなみに個人的に一番好きなシーンが凧揚げのシーンなんですが、あれこそが教育の原点なんじゃないかなあと思います。教育者を目指す人は一度見ておくと良いのではないでしょうか。


(2009.9.3)
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サマーウォーズ


「『つながり』こそが、ボクらの武器。」


 公開初日、早速観てきました。やはりCMの効果もあり、アニメ映画だということで子供の姿も多くありました。
 「OZ」というバーチャルコミュニティに現実世界でも頼りきっている時代(と言っても現代日本)、OZの普及率は携帯電話の普及率とほぼ同じ。そのユーザーの一人でもある主人公、健二は学校一の美女と言われる先輩、夏希のとある「頼み」をバイトとして引き受け、彼女の実家に供をすることになるのだが、曾祖母の誕生日を祝うという一族総出の勢いにたじたじ。陣内家に泊まった日の夜、携帯に届いた一通のメールに記載された暗号を訳が分からないまま解いてしまう。翌朝健二が起きると、OZの「異変」により世界が大混乱に陥っていた――。

 予想以上に面白かったです。貞本義行によるキャラクターデザインで画面に良い意味でクセがなく、家族で楽しみながら見ることのできる映画だと思います。声をあてる俳優陣もあまり違和感がありません。ところどころではありますがベテラン声優もいます。ジブリのような派手さはないし今監督作品のように恐ろしいほど緻密なわけでもなく、時折冗長に思われる箇所もありますが、『時をかける少女』のような妙にリアルな若者、家族の本音を通して作品のテーマが分かりやすく描かれていると思います。
 OZについての作画は仮想世界ということでオールCGです。冒頭のOZについての説明で世界観が全て明かされ、大画面ならではという構成で思わず見入ってしまいました。アバターそれぞれにも個性が見えて面白いです。このOZの中でアクションシーンもあったりするんですが、なかなかこれが白熱します。戦っているのは可愛いアバターなのに! バトルキングであるキングカズマの足技は必見です。恐らくこの作品の一番の見所はこのOZ世界の描写でしょう。現実では到底出来ないことを、現実では到底あり得ない力で、現実と同じく家族で一緒にやり遂げる。手に汗握る場面も多々あって、非常に楽しめました。
 いつか未来にこのOZのような生活に密着したシステムを人間が利用するようになったとき、もしこんな事故が起きたら、と思うとそこはかとなく不安になったりします。ある意味では『東のエデン』のような啓蒙的なストーリーですね。
 ただ少年少女二人が主人公だとは言っても『時をかける少女』よりは恋愛要素が少ないです。陣内家が社会の縮図といった感じで、世界が大混乱に陥った、ということに対して個人個人の捉え方や考え、レスポンスが「ある出来事を巡る家族の対立」を通して上手く表されてました。つまりは主役は陣内一族というわけです。色んな意味でファミリー映画でした。


(2009.8.1)
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パプリカ

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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


 2006年公開、マッドハウス制作の今敏監督の4作目。アニメ映画にしては結構大々的に宣伝されていたので、御存知の方も多いかと思います。筒井さんの原作ありきの映画化ではありますが、今監督は常に脚本家と共に自身の解釈を多分に絡ませるため、原作とはまた違うストーリーになっているのではないでしょうか。ストーリーの主軸はDCミニという他人と夢を共有できる次世代デバイスをめぐって起こる、夢と現実を揺るがす事件です。メインは「夢が流出する」問題ですが、そこに個人的感情やら別のストーリーが絡んでくるやらでややこしい……ということも実はなく、意外とあっさりまとまっています。
 とにかく映像が美しいです。DVDでも十分な映像美だと思いますが、折角なので是非Blu-rayで見て欲しい。セル画とCGの自然な融合(CGディレクターは加藤道哉)、いつもながら感嘆するキャラクターデザインの緻密さ(キャラクターデザイン・作画監督は安藤雅司『東京ゴッドファーザーズ』『イノセンス』等)、まるで写真のような背景のリアルさ(美術監督は池信孝、今敏監督全作品において美術監督を担当)、どれを取っても素晴らしいです。それに加えて、今回は耳まで気持ち良いという素晴らしい音響。主要キャラが実力派によって固められているために安心して聞けます。それぞれのキャラにぴったりです。今監督と筒井さんも作中のとある登場人物の声を当てています。また、作品の雰囲気の大半を作り上げている音楽を、あの平沢進さんが担当しているのも大きな魅力。パレードの時の音楽は不況和音の混ぜ方に背筋がゾッとします。 夢と現実の境目が分からなくなってちょっと怖くなる、そんな不安定さに今監督作品には欠かせないエロスも相俟って、大人の鑑賞に耐え得る作品です。全体的に本当に美しい。
 ちなみに個人的に好きなのは、人物の斜め45°からのカットとスキップするときの動きです。


(2009.7.21)
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フリークス


「君のしてくれたこと忘れないよ」


 日本で一度もTV放送されたことがないということでも有名なかなりの問題作。公開当初から大きな波紋を呼び、即公開中止、打ち切りとなった作品です。勿論子供に進んで見せようとは思いませんが、やはりこれは一度観ておくべき映画の一つだと思います。自分の人生観と言うか、先入観のようなものが180度ひっくり返るなり消滅するなり、大きな変化を与えることは間違いありません。それだけセンセーショナルな作品です。

 ストーリーはいたって簡単で、金に目のくらんだ美しい女クレオパトラが、自分の夫になった男ハンスを殺そうとして、復讐される話です。ここで注目してほしいのが男の方で、いわゆる「小人症」です。サーカスを舞台にした話なので、障害者や奇形といった人々と「普通」の健常者が入り交じっているわけです。先に傷つけて復讐される方が健常者、復讐する方が障害者です。
 恐らくこの映画が上映禁止である理由のひとつとして、障害者側が完全に復讐者となって進んで殺人を犯している様子がはっきり描かれていることが挙げられるのではないでしょうか(そのシーンは下手なホラーよりもよっぽど怖いです)。ただ、その点は作品の評価に全くと言っていいほど関係しません。ストーリー云々よりも、トッド・ブラウニング監督がこの映画を「堂々と」作り、出演者たちも「堂々と」自分を表現した、ということが重要なのではないでしょうか。ブラウニング監督は、この映画を撮るにあたってオーディションを行い、それにはかなりの人数の身体障害者が集まったのだそうです。つまり、彼らは歴とした役者であり、プロ意識を持ち、自分達から目を逸らすのではなくこの表現を見てほしい、と集まったわけであって、これは決して哀れみを誘う映画ではありません。彼らの身体からほとばしるエネルギーを感じてほしい。見せ方、そして魅せ方によって、身体はいくらでも政治的な意味合いを持ち、一つの武器と成り得ることを証明しています。
 ただ、クレオパトラの行なった悪行に対して、ハンスらが行なった復讐は少々割りに合わないのではないかな、と思います。実際このバージョンはまだカットされたシーンがあり、そこには健常者の男の局部を切り落とすシーンまであると言いますから、相当のものだったのでしょう。いくら彼らの「掟」に則ったとは言え、クレオパトラの末路を見ても分かるように彼らの怒りは凄まじかった。必ずしも「健常者は心が醜く、障害者は心が清い」というメッセージが受け取られるわけではありません。

 1932年という、およそ80年前に作られたこの作品、CGはまったく使用せず、特殊メイクが使用されているのもラストのワンシーンのみ。決して映像が美しいわけでも、技術力が高いわけでもない。それでも伝説の作品であるこの『フリークス』=怪物。是非一度見て頂きたい映画です。


(2009.7.16)
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